健康被害に遭わないためにヒートショックを考えた家づくり

健康被害に遭わないためにヒートショックを考えた家づくり

寒さが厳しい冬場に暖かい部屋から寒い部屋への移動する際など、急激な温度の変化によって血圧が大きく変動することをきっかけにして起こる健康被害がヒートショックです。ヒートショックになると失神・不整脈を起こしたり、急死に至ることも多く、室内の気温差が激しくなる冬場によく起こりやすいです。こういった健康被害は、若いうちにはあまり遭わないことが多く、家づくりの段階ではあまり重視されないことも多いのですが、高齢になってからの被害が多く、後になって後悔することも多いため、家づくりの段階から対策をしておくべきところでもあります。

今回はそんなヒートショックについて、どれぐらいの件数が起こっているのかを知り、その具体的な対策についてをご紹介していきます。

ヒートショックによる事故

東京都健康長寿医療センター研究所が行った調査によると、2011年の1年間で、全国で約17,000人もの人がヒートショックに関連した事故で死亡していることがわかりました。この死亡者数は、交通事故の3倍以上となり、そのうち高齢者の数は、14,000人と大多数を占めていて、とても身近な事故であることが理解できるかと思います。そのため、家づくりをしていく場合、こういった将来的なところまでを考慮して家づくりを進めていく必要があるのです。

出典：東京都健康長寿医療センター研究所｜ヒートショックを防止しましょう

ヒートショックが起こりやすい場所

• 廊下
• トイレ
• 脱衣所
• 浴室

日常生活で多くの時間を過ごすこととなるリビングは一般的に過ごしやすい快適な温度で、特に冬場などは暖房が効いていることで血圧が安定しています。ですが、廊下やトイレ、脱衣所、浴室といった場所は温度差があり、寒く感じる場所となることが多く、この急激な温度差によって血管が縮み、急速に血圧が上昇することで、ヒートショックが起こりやすくなってしまいます。

そのため、このようなヒートショックを起こさないようにするためには、家全体を温めることが必要で、寒暖差をなくす工夫を家づくりでは持っておくことが大切となります。

ヒートショック対策

・高気密・高断熱の住宅

気密性と断熱性が高い家であれば、室内の暖かい空気が冷えることも無くなるため、外の寒さの影響を受けにくくなります。また、エアコンをつけた際も効率よく室内を温めることができるので、省エネにも繋がり、光熱費を抑えることができるため、ヒートショック対策を考える際には一番最初に取り入れるべき対策の一つです。

・全館空調

全館空調は家の中の全ての温度を管理することができ、換気、空気清浄といったところまでも一括で管理することができるため、家の中の温度差を少なく快適に過ごすことができ、ヒートショックの対策においてはとても有効な設備の一つです。

・浴室・脱衣所暖房機

ヒートショックが最も起こりやすい場所は浴室・脱衣所だとも言われているため、浴室・脱衣所でのヒートショック対策はとても重要なポイントでもあります。特に高齢になると脱衣所での服を着たり脱いだりといった時間が若い時と比べると、遅くなってしまいます。今は我慢できているから大丈夫といったことで、ヒートショック対策をしていないと実際に被害に遭ってしまうことにもなってしまうので、コストをかけてでも取り入れておきたいポイントです。

・床暖房

足元から温めてくれる床暖房を設置していれば、冬場の足の冷えが無くなるため、安全快適に過ごすことができます。リビング空間だけでなく、ヒートショックが起こりやすい「廊下・トイレ」といった箇所にも床暖房を設置しておくと、裸足で快適に家の中も移動できます。

まとめ

ヒートショックを防ぐためには家の中の暖房がなくて寒いと感じるような場所をなくすことが大切です。脱衣所や浴室だけでなく、トイレや廊下といった部屋のあらゆるところに暖房を設置したり、全館空調や、床暖房を採用することなど、寒さを感じないような工夫を家づくりの段階から意識していれば、ヒートショックは防ぐことができます。

今は大丈夫でも老後にヒートショックで健康被害に遭ってしまうことで、命に支障を来してしまうこともあるので、健康であり続けるために多少コストがかかったとしても、安心して長く暮らせる家となるように家づくりの段階から対策をしていきましょう。